バーゼルで夜明けの一撃をくらう

 

毎年2月から3月の間に行われる
キリスト教のカーニバル(謝肉祭)と
土地の民族行事などが混ざった盛大な祭り
「ファスナハト」。
スイスやドイツの各地で開催されていますが
ここバーゼルでは午前4時の
「モルゲシュトライヒ(夜明けの一撃)」と呼ばれる
パレードでファスナハトの幕が開け
72時間お祭りは続きます。
期間中は祝日扱いでお休みになる会社も少なくない
スイス最大のお祭りです。
 
 

バーゼルのファスナハトの歴史は古く

1376年の文献にすでに記されている

中世から続くスイス最大の祭りです。

この時ばかりは実直なスイス人も

羽目を外すことを自分に許す

最高の3日間なのです。

だからみんなの気合のいれ方が違います。

午前3時45分。旧市街の中心は

身動きが取れないほどの人の渦。

明治神宮の初詣を彷彿とさせます。

 

 

午前4時ぴったりに街灯が消え
ピッコロの甲高い音と
ドラムの音色が街に響きます。
大きなランタンを載せた山車と
「クリッケ」と呼ばれる約470もの
地元青年団風のグループが仮装し
ランタンを頭に提灯を乗せて
ピッコロと小太鼓の独特なメロディーを
奏でながら街中を練り歩きます。
真っ暗な街中を行進する様子は
まるでおとぎ話の世界に
迷い込んだような不思議な感覚。
 
 
チームは4-5人〜100人を超す大所帯までさまざま。
「グッゲ」と呼ばれる主にピッコロとドラムで構成される
音楽隊が奏でるメロディーが妙に耳に残ります。
 
 
毎年身近なトピックや社会的問題
政治をテーマに皮肉とユーモアを込めた
ランタンを制作します。今年のテーマは「店じまい」。
外資系の安い店の参入で、古い商店が経営して
いけなくなっているそうです。 
そうして「モルゲシュトライヒ」は、日の出の時刻
午前7時20分を告げる教会の鐘が鳴るまで続きます。
午後はさらに盛大なパレート。
それまで各グループは集会所で観衆はレストランなどで
ファスナハト伝統料理のチーズと玉ネギの
パイと小麦粉のスープを食べて祭りの始まりを祝います。
 
 
この時期はレストランの飾り付けもファスナハト仕様。
お面をかぶって接客しているところもあります。
 
 
ファスナハト伝統パン。クミンがのっているだけの
シンプルな味。1月くらいから、どのパン屋にも置いています。
 
 

 

午後のパレードは大きなトラック山車も加わり
およそ2万人のクリッケが仮装をして街中を練り歩きます。
 
 
祭りの主役は、つきあがった大きな鼻にボサボサ頭で
出っ歯の「ヴァッギス」。
多くの参加者が「ヴァッギス」のお面を被り
紙ふぶきとお菓子、オレンジ、人参、タマネギ、ミモザの花
などを観衆に撒きながら練り歩きます。
大人も子供もヴァッギスが通ると大声で呼び手をのばします。
 
 
バーゼルのファスナハトは毎年発行される
祭りに寄付をした証のバッチをつけていないと
食べ物の代わりに大量の紙吹雪を投げつけられる
ルールなのですが、たとえバッジを
見えるところにしっかりつけていても
頭からカバン、靴の中まで全身紙だらけ。
 
小さな子供たちからキャンディーをもらうのは
いつもと反対の立場でちょっぴり不思議な感覚。
 
 
冷え切ったクリッケの体を温めてくれるのは
やっぱりチーズフォンデュ!
 
 
スキーができそうなくらい大量の紙吹雪
地面が全く見えない!
 
 
ファスナハト最終日は、3日間続く祭りでピッコロを吹き
太鼓を叩き続けた極度の疲労
祭りが終わってしまう悲しみで
お面の中は涙でびしょびしょの人もいるそうです。
 
最大の驚きは祭りの後。
午前4時を過ぎると一斉に清掃車が街を巡回し
朝8 時の出勤時刻にはまるで祭りなどなかったかのよう。
雪のように積もっていた紙吹雪は消え
山積みのゴミも回収されています。
しかし、服やバッグに潜んでいる紙吹雪が
ひょっこり顔をだしピッコロとドラムの旋律が
再び頭を駆け巡るのです。
 
この時期に合わせて来れば
スイス最大のお祭りも楽しめますよ!

 

来年のファスナハトは3月6〜9日

 

 

 
2 comments to “バーゼルで夜明けの一撃をくらう”
  1. SECRET: 0
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    何時も楽しみにしています。
    今日の祭り、
    ハロウィンのうな、
    でもちょっと違う、
    楽しいお祭りですね。

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