オーストラリア 世界遺産

ブルーマウンテンズの底は太古の森

シドニー近郊にある世界遺産エリアに登録されているブルー・マウンテンズ。

展望台から眺める壮大な風景もさることながら、ユーカリの森のさらに下には

巨大なシダが生い茂り清流が流れる太古の世界が広がっている。

シドニー空港からレンタカーで西へ約100キロ。グレート・ウェスタン・ハイウェイを1時間30分ほど走りブルーマウンテンズを目指す。オーストラリアは日本と同じ左車線なので違和感もなく道も広いので運転しやすい。

まずはブルーマウンテンズきってのビューポイント「スリー・シスターズ」へ。展望台に近くに聳える3つの奇岩で、美しい3姉妹が連れ去られそうになり、村の長老によって岩に変えられてしまったというアボリジニの伝説がある。

奥にはユーカリの森がまるで海のように広がっている。ユーカリの葉に含まれている油分が気化して、光と反射する事で全体が青みがかったように見える事から「ブルーマウンテン」と名付けられた。

太陽が昇り空気が温まって蒸発する朝一番は、青い霧がかかったような風景に出会えるチャンスが高い。

スリー・シスターズのすぐ近くにある「シーニック・ワールド」は、ブルーマウンテンズの自然を気軽に楽しめるアトラクションが人気のスポット。

この辺りは炭鉱跡で、積み上げに使用されていた最大斜度52度の急勾配のレールを現代のトロッコ列車で谷底へ直滑降。世界で最も急なケーブルカーのひとつだそう。

谷底に広がるユーカリの樹海に敷かれた木道のウォーキングコースを散歩するのも気持ちがいい。ロープウェイや底が透明ガラスのゴンドラに乗って空中散歩も楽しめる。

トロッコ乗り場の側面に生えているシダ類の中で何かが違う植物。これは「ウォレミマツ」と呼ばれる近郊のウォレマイ国立公園にのみ生息する、成木が100個体に満たない希少な植物。

2億年前の化石が発見されていて、生きている化石「ジュラシック・ツリー」の愛称で知られている。発見されたのは1994年と比較的最近。

現在は世界各地の植物園で栽植され保全に努めている。せっかくの希少な植物、せめて看板を立ててはいかがか。

ブルーマウンテンズ一帯には無数のブッシュウォーキング・トラックがある。ブルーマウンテンズ観光の拠点となる町カトゥーンバから10km北に位置する町ブラックヒースにあるグランド・キャニオン・ウォーキング・トラックは、180m下の峡谷を歩く6kmのループ・コース。1907年に西武されたというのだから驚き。

タワシのような花穂がユニークなバンクシアはオーストラリア原産の固有種植物。日本でもオージープランツとして人気が高まっているみたい。先日、近所のガーデンショップでも見かけた。

バンクシアの実は山火事が起きると、その熱で実が弾けて種子が飛び出す。山火事で焼けた後の森で、生き延びていく戦略。植物の地域の特性を活かした生存戦略は実に面白い。

駐車場から緩やかなスロープを下り、ユーカリの森を越えるとそこは別世界。冷たい湧水が流れ大小様々なシダや苔が地面を覆い尽くしている。今にも恐竜が現れそうな雰囲気。

砂岩の黄色い岩壁は2億年以上前のものだという。こんなところへ気軽に来られてしまうオーストラリア、凄すぎる。

地面にペンキで塗られたような2色の直線。これは地層が中断された重なり方をしている不整合なのだそう。どお見ても自然のものとは思えない。

この不整合を説明できる方がいれば、ぜひ聞きたい。地球のふしぎ発見!

カトゥーンバにあるブルーマウンテンズ・アドベンチャー・カンパニーにて、さらに深い峡谷を歩くキャニオニングツアーを申し込んだ。ウエットスーツと防水靴、防水リュック、ヘルメットにロープとなど、キャニオニングに必要な道具は一式用意してくれるので、着替えだけ持っていけばいい。オフィスに集合して荷物を詰めたらバンに乗って1時間ほど走ったところにあるウォレミ国立公園へ。

ここは先に話した太古の植物ウォレミマツが発見されたエリア。もしかしたら自生している姿を見られるかもしれない。そんな淡い期待を胸に、ブッシュをかき分けて谷へ谷へと下りていく。

中腹あたりでウェットスーツに着替えてヘルメットを被り谷底を目指す。気分はすっかり探検隊。地上から600mの谷底へ到着。空を見上げても崖の上など見えない。

周囲には昨日のグランドキャニオンに勝るシダが重なり合うように密集している。巨大な蝶々とかいても不思議じゃない。ある意味ファンタジーの世界。

沢をザブザブと歩き、深場は崖に張られたロープを伝って進むとその先は滝。滝壺に落ちるかロープを伝って対岸の崖に渡るかの二者択一。3月といえば南半球は晩夏とはいえ、水は冷え冷え。かといってロープを伝って対岸にたどり着く自信もない。ここは、リュックを投げて滝壺にザブーン!

決して水中でパニクってはいけない。ウェットスーツを着ていれば体の約5%の浮力を得られ、水面で仰向けになれば楽に呼吸できる。

ウォレミマツを見ることはなかったが、約5時間のキャニオニングはゴンドワナ時代を想像させる素晴らしい体験。ほんの少しの勇気が世界を広げてくれる。体力が余っている人は最後に垂直の崖の隙間を両手両足をつかって這い上がって行くこともできるぞ。

https://bmac.com.au

アオアズマヤドリの巣の痕跡。オスは地面に小枝であずまやを作り、巣の周りに羽や青色のものを飾ってメスを誘う。

メスが近づいてくるとプレゼントを口にくわえて翼を広げてダンスを披露するプレイボーイ。

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