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エジプト新王国第19王朝のファラオ、ラメセス2世。またの名を「太陽の王」。古代エジプトの
最盛期を実現した大王で紀元前1305年に生まれ、父の死後26歳ごろファラオの座に着く。
以後死去するまでの67年に渡り古代エジプトを統治した。
ラメセス2世は多くの遺跡を建築し、壁画には当時を物語るレリーフを残している。
中でも有名なのは、アブ・シンベル神殿内に描かれている「カディッシュの戦い」。
史上初の公式な軍事記録に残されたヒッタイトとの戦争。結果は引き分けとなったが
壁画では大勝利をおさめたことになっている。戦後、世界最古の平和条約を結んだ。
ナイル川の上流のヌビア地方には、古代エジプトの数々の遺跡がある。
その中で最大の遺跡がラメセス2世によって岩山をくり抜いて築かれたアブ・シンベル神殿。
神殿は太陽神ラーを崇める大神殿と女神ハトホルを崇める小神殿に分かれ
大神殿は太陽の王である自分のために、小神殿は王妃ネフェルタリのために建造された。
1960年代にはアスワン・ハイ・ダムの建設により水没の危機が迫ったが、
ユネスコを中心に50カ国が協力する救済活動で、爆薬は一切使わずブロックに切り分けられ
神殿は約60メートル上方へ、太陽に向かう方向は同じまま移築されたのは有名な話し。
その甲斐あり、現在も10月と2月の一年に2日、普段は光が届かない神殿の最深部に
朝日が一直線に差し至聖所の神々を浮かび上がらせる。
そのドラマチックな瞬間を拝むために夜明け前の大神殿に5000人もの観衆が集結した。
夜が白々と明け、ナセル湖の向こうから大きな太陽が顔を覗かせると人が一斉に動き出す。
殺到する渦中で身の危険を感じカメラをバッグにしまっておく。
大勢の人が見守る中、ついに朝日が中央の入り口から神殿の中に入りはじめた。
一筋の光が神殿の至聖所に到達する。
暗闇の中の太陽神アメン・ラーと神格化されたラメセス2世を浮かび上がらせた。
光はゆっくりとラメセス2世を照らし出し、守護神と太陽神のラー・ホルアクティへと移っていく。
その神々しさは、今もラメセス2世に何かが起こると思わせる光のマジックだ。
至聖所の前を占拠するメディアは周囲に気を配る気配もない。こうはなりたくないものだ
アブシンベル神殿は10月21日と2月21日に至聖所の中に朝日が入るという事ですが、この2日を挟む期間(124日間)はエジプトの三季アヘト(洪水季)・ペレト(耕作・収穫季)・シェム(暑い季節)の内のペレトに合致していました。太陽の運行により耕作の時期を間違いなく知ることができます。