ひと月に35日雨が降るという屋久島。
2000メートル近い山の頂に浮かぶ雲が大量の雨を降らせ大地を潤す。
森には長い時をゆっくりと生きてきた生命の小宇宙が広がっている。
白谷雲水峡の奥へと進み、
苔むす森へ通じる登山道を歩いて
遊歩道のすぐ脇に立つ大杉「奉行杉」。
まるで彫刻が施されたような木肌に
びっしりと深い緑色した苔。
自然の力強さが滲み出ている。
白谷雲水峡で最大といわれる巨樹。
推定樹齢は不明。
屋久島は地下で冷えたマグマが隆起して生まれた
岩の島。
大量の雨は地面に染み込まず一気に川を下り
この深い緑の世界を作りだす。
そして水分を十分に蓄えた苔が乾燥を防ぎ
幼い杉のゆりかごとなる。
ここでは木は土からではなく
大きな岩の上に種が発芽して育つ。
岩盤でできた栄養が乏しい土地だからこそ
杉はゆっくりと大きく成長する。
樹齢数千年の屋久杉は、数えきれないほどの厳しい季節を乗り越えて生きてきたのだ。
奉行杉を回り込んで覗くと、なんとお顔が!
あなたは森の番人ですね。
平和な光景がいつまでも続きますように。