朝9時、車でアグラからジャイプールへ向かう途中の
何もない道で運転手が突然速度を落とした。
「バーストしたみたい。タイヤを取り替えないと」。
運転手は車を止めてタイヤを見に行くと、右側の後輪がぺしゃんこになっていた。
そして奇跡的に車修理屋が目の前にある。
スペアタイヤがつくまで、村の周りを散策に出かけることにした。
といってもチャイ屋とガソリンスタンドが1件あるだけ。
ガソリンスタンドに牛が繋がれていたので、ちょっとからかって体を突っついてみた。
すると繋がれていると思っていた牛は、ただ紐がついているだけ。
牛は、帰ろうとする私の背後から小走りで追いかけて来た。
私も小走りで逃げ出すと、牛は頭で私の背中を突き返してきた。
あの時の牛の得意げな顔と私の焦り顔を側で見ていたら、きっ笑えたに違いない。
スペアタイヤがついて再出発したのは、すでに午後1時をまわっていた。
タイヤを交換するだけで4時間かかろうが、
そこは焦らず慌てず流されるまま時間を過ごすのがインド旅のコツだ。