この季節に世界中で上演される冬の風物詩。バレエの演目「くるみ割り人形」。チャイコフスキーの美しい音楽で繰り広げられる楽しい物語は、世界中から愛される聖夜のファンタジー。原作名はE.T.A.ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」。
くるみ割り人形はドイツ東部の山岳地方の伝統工芸品であり、クリスマスの装飾品。くるみを割るための道具が人形になったもの。顎が開閉できるようになっていて、そこにくるみを挟み、背中にあるレバーを下げることでくるみが割れます。歯でくるみを噛み砕く醜くこっけいな姿は、王様・兵士・警官など偉そうな人の姿をしています。庶民が支配階級へのうっぷんを晴らすために「威張りモデル」の人形が作られたと言われています。
くるみ割り人形あらすじ
舞台はクリスマスイブのパーティの夜。
人形使いの老人ドロッセルマイヤーからくるみ割り人形を贈られたクララは、そのおかしな顔をした人形をとても気に入ります。真夜中の12時の鐘が鳴ったとき、なんとクララは人形ほどの小さな体になってしまいます。すると、どこからともなくねずみの大群が押し寄せ、くるみ割り人形が指揮する兵隊人形たちが戦いを始めます。ネズミの王様とくるみ割り人形の一騎打ちにクララがネズミにスリッパを投げつけ人形の大勝利に。すると、くるみ割り人形は美しい王子に変身。王子は、クララを「雪の国」を通ってお菓子の国を訪れ、各国のお菓子の踊りを見せてもらう。クララは踊りを披露してくれたみんなに感謝し別れを告げる。
目を覚ますと、そこは居間のソファーの上だった。不思議な出来事はクリスマスイブの夢だったのだろうか。かたわらにいたくるみ割り人形をクララはいとおしそうに抱きしめ幕が閉じる。