旅先で出会うローカルフードには、その土地の空気や人々の気質が宿っている。
ドイツ南西部、フランス国境に近いアルザス地方で生まれ、ドイツ各地で愛される「フラムクーヘン(Flammkuchen)」もそのひとつ。
「炎(Flamm)」と「ケーキ(Kuchen)」の名の通り、パンを焼く薪釜の温度を確かめるために作られたのが始まりだという。
薄くのばした生地の上に、サワークリームとクワルク(フレッシュチーズ)をたっぷり塗り、
玉ねぎとベーコンをのせて高温で一気に焼き上げる。
香ばしくパリパリの生地に、クリーミーな酸味とベーコンの塩気が溶け合う瞬間、
素朴な田舎の食卓の温もりがよみがえる。
定番の玉ねぎ&ベーコンに加え、季節の野菜やきのこ、サーモンをのせたアレンジ、
軽やかで香ばしい味わいは、地ビールとの相性が抜群だ。
リンゴにシナモンをまぶしたものやサワーチェリーといったスイーツ系も人気。
ウッドボードに乗せて運ばれてきた焼きたての一枚を頬張る――。
旅先でしか味わえない“至福のひととき”なのだ。
見かけたら、「ピザはイタリアでしょ」と思わずにぜひご賞味いただきたい!