グアダラハラ徘徊
壁画と建築とアオガダと

テキーラとマリアッチ音楽発祥の地、標高1600メートルの高地にあるメキシコ第2の都市・グアダラハラ。グアダラハラはメキシコの文化的アイデンティティにおいて大きな役割を果たしている。メキシコシティやカンクンが観光客で賑わう一方で、グアダラハラはゆったりとした雰囲気が魅力。

街はゴシック、新古典派、ネオゴシック、ポストモダンなど、様々な様式の建築で華やぎ、その景観の美しさから「西部の真珠」とも称されている。またメキシコ画檀4大巨匠の一人とされるホセ・クレメンテ・オロスコや、20世紀を代表する建築家の一人ルイス・ バラガンがなど、芸術家も多く輩出してきた。グアダラハラはまさに、メキシカン・カルチャーのるつぼだ。

街の中心に立つ荘厳なカテドラル。特徴的なネオゴシック様式の塔が建てられたのは、地震で建物が損傷した19世紀になってから。建築様式の融合に加え、内部は豪華に装飾された丸天井、メキシコ最大級のオルガン、フランスから輸入されたステンドグラスなど、貴重な品々が収められている。

カテドラルから、まっすぐ伸びる広々とした歩行者専用道に並ぶ、重厚な裁判所や優美なオペラハウス、噴水やパブリックアートなどが洗練された雰囲気を醸し出している。さらに週末になると民芸品やローカルアーティストたちの露店が並び、旅行者を一層楽しませてくれる。

通りの突き当たりに立つオスピシオ・カバーニャスは、1810年に孤児や老人、病人の救貧院として建てられた施設で、世界文化遺産に登録されている。新古典主義式の壮麗な建物の内部には、オロスコによる50以上の巨大な壁画や天井画は見応えあり。中でも「炎の人」はメキシコの壁画運動の中心となった画家ホセ・クレメンテ・オロスコの最高傑作とされている。オロスコの画を無料で解説してくれるガイドもいる。

ホセ・クレメンテ・オロスコは、メキシコ壁画運動の著名な芸術家。フリーダ・カーロの夫であるディエゴ・リベラ、ダビッド・アルファロ・シケイロス、ルフィーノ・タマヨと並ぶメキシコ画檀4大巨匠のひとり。1920年代から1930年代にかけてメキシコ革命下で起こった壁画運動は、革命の意義やメキシコ人としてのアイデンティティーを民衆に伝えることが目的であり、そのため誰でもいつでも見ることのできる壁画が主な媒体に選ばれたのだった。

大聖堂の隣に立つハリスコ州庁舎は、17世紀に建てられ現在も使われている。独立の父イダルゴ神父が先住民の解放を宣言した歴史舞台で、中央階段の天井一面にはオロスコによる「立ち上がる僧侶イダルゴ」の巨大な壁画がある。2階の会議場にも、オロスコの天井画が描かれている。公共施設なのでもちろん入場無料。

グアダラハラ出身の20世紀を代表する建築家ルイス・バラガン。バラガン建築の多くはメキシコシティに存在するけれど、ここグアダラハラにも20ほど残されている。ただ、そのほとんどが個人所有物。見学ができるのは大学が管理しているゴンザレス・ルナ邸のみ。ルイス・バラガンの初期作品で、無料で一般公開されている。

若きバラガンは1929年に、友人であり思想家であり政治家でもあり、1952年のメキシコ大統領選挙の候補者でもあったエフライン・ゴンザレス・ルナからこの作品の依頼を受けた。光、プライバシーが保たれた空間、地場の素材、色彩が融合した、20 世紀の世界建築におけるランドマーク的な建物。光の使い方や室内装飾において、メキシコ特有の色彩、素材が巧みに用いられ、メキシコ先住民族の尊厳を称えた時代に見られる特徴的な「地方主義」とモダンが融合されている。

また、ゴンザレス・ルナ邸をはじめ、ルイス・バラガン建築が集まるコロニア・アメリカーナという地区は今、国際誌タイムアウトによる「世界のクールな街」第一位となっているところ。歴史的なアールデコ建築の豪邸と、元倉庫のライブハウスが混在する街。隠れバーやおいしいレストラン、おしゃれホテルが点在。ナイトライフは西半球でトップクラスといわれるホットスポット。

グアダラハラの名物料理といえばポークサンドをスパイシートマトソースにひたひたに浸した「トルタ・アオガダ」。パンが硬くてパサついているのでソースに浸して水分を吸わせてるんだな。いい感じでパンに味が染みて嫌いじゃない。

ウェットティッシュを忘れずに。

 

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