グアダラハラ中心部から車で20分ほど南に走ったところの小さな町トラケパケは、マリアッチ発祥の地で知られ、広場やレストランから陽気な音楽が聞こえてくる古き良き時代の魅力が息づくメキシコ屈指の観光地。メキシコ観光局により「プエブロ・マヒコ(魔法の村)」と呼称されている。
スペイン人が到着するずっと以前から、先住民は粘土で装飾品や道具を作っていた町。
目抜き通りでは、お土産やギャラリー、レストランが軒を連ね、変わったオブジェやストリートパフォーマーたちが訪れる人を楽しませてくれる。
この街もあちらこちらにスカルのオブジェや壁画が描かれ、キャンディショップやバーにもギフトショップにもスカル!洗脳されてスカルグッズを色々購入してしまう。やっぱりここは魔法の村だった。
お店の前に立っていたお姉さんも骸骨の貴婦人「カトリーナ」メイクでお出迎え。ここでは死者の日にかかわらず、一年中スカルがあなたを待っています。
メキシコの伝統行事「死者の日(Día de los Muertos)」は、毎年11月1日と2日に祝われる、亡き家族への愛と敬意を示す祭り。この期間、メキシコ中の町や村でパレードが開かれ、人々はカラフルなメイクと衣装に身を包み、歌い、踊りながら、愛する人の墓へ花を手向ける。日本のお盆と同様に、死者の魂が一時この世に戻ってくると信じられ、各家庭には祭壇が設けられ、先祖の墓も鮮やかに飾られる。
町には、色とりどりの切り紙「パペルピカド」が揺れ、ガイコツをかたどった人形や、鮮やかなオレンジ色のマリーゴールドがあふれ、街全体が生命の象徴で彩られる。
フランシスコ・デ・ミランダとマタモロスの間のフアレス通りにはディエゴ・リベラの有名な壁画「アラメダ公園の日曜の午後の夢」のレプリカが描かれている。壁画の中央にいるのは「カトリーナ」。この絵がきっかけでカトリーナは広く知られ、人気キャラになったのだとか。
そんな骸骨の貴婦人「カトリーナ」の始まりは、風刺画家ホセ・グアダルーペ・ポサダによる一枚の版画にさかのぼる。どれだけ富や権力を手に入れても、死後の世界ではすべて無意味──そんな皮肉と警鐘を込めて描かれたカトリーナは、やがてメキシコ文化を象徴する存在となり、今日では華やかな装いのガイコツとして、祭りを彩っている。
フリーダ・カーロの壁画もカトリーナにまけずおとらずメキシコカルチャーを象徴する人気のアイコン。トラケパケの街並みにも溶け込んでいる。
フリーダ・カーロの壮絶な人生は、30年前の若き私の心を激しく揺さぶった。以来、彼女は私の心のどこかに棲みついている。
パリアン・デ・トラケパケは、19世紀に建てられた市場を改装してつくられた、中庭を囲むようにレストランやバーが集まる賑やかなスポット。中央には大きなバンドスタンドがあり、マリアッチや民族舞踊のショーが毎日上演され、訪れる人々を楽しませている。
バンドスタンドに近いパティオ席に座る場合は、カバーチャージが必要。さらに、マリアッチがテーブルに来てリクエスト演奏をしてくれたときには、チップとして10ドル以上を渡すのが暗黙のルール。
マリアッチ発祥の地で本場の音楽を間近に聴けるこの体験は、きっと旅の素敵な思い出になるだろう。