メキシコの隠れた名所 – ケレタロ

メキシコシティから北西へ約200キロ、空路で約1時間、キシコ中央高原の玄関口ケレタロは、スペイン人と先住民が共生し繁栄を分かち合った稀少な植民都市。近年では、自動車・航空宇宙部品業界などを中心に急速な発展を遂げている一方、中心となる歴史地区は植民地時代の面影を色濃く残すコロニアル都市の手本として、世界文化遺産に登録されている異国情緒が溢れる街。

街路樹の刈り込みが個性的!おかげで広場には木陰ができて、暑い日中でもたくさんの人が集まっている。

修道院を利用したケレタロ美術館は、入場無料で常設・企画展を鑑賞できる他、細部まで凝った装飾は一見の価値あり。中庭にはベンチがあるので、観光の途中にひと休みするのにもちょうどいい場所。

セネア公園を中心にコロニアル建築が残る碁盤の目状に街路が走る歴史地区には、20を超える教会をはじめ、優れた建築物が当時の繁栄を物語っている。カテドラルの前に伸びるマデロ通りはショップやレストランなどが軒を並べる散策が楽しいエリア。

サンタ・ロサ・デ・ビテルボ教会は、1752年に建立されたチュリゲラ様式の傑作。スペイン・バロック建築の中でも特に装飾性の高いこの様式は、荘厳さと華やかさを極限まで追求したもの。

外観には、先住民を模した彫刻が施されており、当時のスペイン人と先住民の複雑な関係を映し出している。一方的な征服ではなく、宗教や文化の交錯と共生の証が、石の中に静かに刻まれている。

そのユニークな外観に目を引かれつつ、扉を開けて内部に足を踏み入れた瞬間、訪れる者を圧倒するのは、黄金に彩られた祭壇──まさに「ウルトラ・バロック」とも称される、目も眩むような装飾の世界。緻密な彫刻と金箔の光が織りなす空間は、信仰心と芸術が融合した美の結晶と言えるでしょう。

ケレタロの歴史と多層的な文化背景を体感できるこの教会は、単なる宗教建築を超えた、記憶に残る“文化の証人”なのだ。

ケレタロの名物料理といえば「ゴルディータ」。「太ったおばさん」という意味なんだけど(あるいは、ぽっちゃりお姉さん)、厚めのトルティーヤをピタパンのように開いて具材を詰めたもの。どこもおばちゃんが焼いているのと、女性名詞なので勝手に私が「おばさん」と言っているだけです。悪しからず。

憲法広場の前に立つ、ケレタロで評判の美味しいゴルディータが食べられる「ゴルディタス・デル・ポータル」。メキシコらしいインテリアで、メニューは写真付きなのでわかりやすいおすすめレストラン。

メキシコと聞くと、時折耳にする騒動や治安の不安が頭をよぎるかもしれないが、ケレタロではそんな心配を感じることはなかった。「メキシコで最も安全な街」として知られるこの街は、どの通りにも街灯があり、老若男女、家族連れ、観光客──誰もが安心して散策を楽しんでいるその様子が、街の穏やかさを何より雄弁に物語っている。

ケレタロは近郊には多くの魅力的なスポットが点在するので、ここを拠点に訪ねてみたい。

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