ロットネスト・アイランド|「世界一幸せな動物」だけじゃない、島を旅する楽しみ

パースからフェリーで少し足を延ばすだけで、まるで別世界へ迷い込んだかのよう。

自家用車がほとんど走らない島には、白砂のビーチやターコイズブルーの入り江、

静かなサイクリングロード、そしてオーストラリアでこれまで見たなかでも

とびきり透明度の高い深青色の海が広がっています。

もちろん、この島の人気者といえば「世界一幸せな動物」と呼ばれるクオッカ。

でも、ロットネスト・アイランドの魅力は、それだけではありません。

自転車を走らせ、気になる入り江を見つけたら立ち止まり、海へ。

島を巡ることそのものが、一日のアドベンチャーになります。

ロットネスト島へは、パース近郊のフリーマントルやヒラリーズなどからフェリーでアクセスします。

複数のフェリー会社が運航しており、所要時間はヒラリーズから約45分、

フリーマントルから約30分。どちらの港もパース中心部から約1時間が目安。

水の向こう、精霊の宿る島

ロットネスト島は、先住民ヌンガルの言葉で「ワジャマップ(Wadjemup)」と呼ばれ、

「水の向こうの精霊の宿る場所」を意味するという。パースの沖合約19kmに浮かぶこの美しい島は、

ヌンガルの人々にとって古くから大切な場所でもある。

しかし、青い海と穏やかな風景の向こうには、忘れてはならない歴史がある。

19世紀の植民地化以降、島はアボリジナルの少年や男性を収容する場所として使われ、

多くの人々が故郷や家族から引き離され、ここへ送られた。

現在は世界中から旅行者が訪れるリゾートアイランドとなった一方で、

島ではその過去を伝え、ヌンガルの文化や記憶を未来へ継承する取り組みも進められている。

美しい海で泳ぎ、自転車で島を巡り、愛らしいクオッカと出会う。その楽しさとともに、

この島が「ワジャマップ」と呼ばれてきた意味と、土地に刻まれた記憶を知ることも、

ロットネスト島を旅することのひとつなのだと思う。

自転車と徒歩で楽しむ、島時間

島全体がA級自然保護区に指定され、貴重な自然環境が守られているロットネスト島。

一般車両の乗り入れが規制されているため、島内の移動は自転車や周回バスが基本だ。
なかでもおすすめは自転車。潮風を受けながらペダルを漕ぎ、気になるビーチを見つけたら立ち止まる。

車の往来を気にせず、自分のペースで島を巡れるのがなんとも心地いい。
さらに、島内にはいくつものウォーキングルートが整備されている。

テーマ別のウォーキングツアーやガイド付きツアーに参加すれば、

美しい景色を眺めるだけでは気づかない島の自然や歴史にも触れられる。
急いで名所を巡るのではなく、歩いたり、自転車を走らせたりしながら、

島の時間に自分のリズムを合わせていく。

それこそが、ロットネスト島らしい旅の楽しみ方なのかもしれない。

海を眺めながら、島グルメも楽しむ

小さな島だから食事は簡単なものだけ、と思っていたら大間違い。

ロットネスト島には、サイクリングの途中に立ち寄れるベーカリーやカフェ、

気軽なテイクアウトから、海を眺めながらゆっくり食事を楽しめるレストランまで、

想像以上に多彩な選択肢が揃っている。

焼きたてのパンやコーヒーでひと休みするならRottnest BakeryLane Cafe Rottnestへ。

しっかり食べたいなら、サワードウピザやパスタが人気のFrankie’s on Rottoなど、

カジュアルな店も充実している。

さらに、トムソン湾を望むIsola Bar e Ciboではイタリア料理、

Lontaraでは東南アジアの島々をイメージした料理を味わえるなど、選択肢もなかなか本格的。

西オーストラリアの食材やシーフードとともに、島の夜をゆっくり楽しむのもいい。

泳いで、自転車を走らせて、お腹が空いたら海を眺めながらおいしいものを食べる。

そんなシンプルな一日の過ごし方が、ロットネスト島ではとびきり贅沢に感じられる。

どこまでも青い、63のビーチ

63カ所のビーチと20カ所の入り江をもつロットネスト島は、ビーチ好きにとってまさに楽園。

白砂の向こうに透き通ったターコイズブルーの海が広がり、シュノーケリングやカヤックなど、

さまざまなマリンアクティビティを楽しむことができる。

なかでも驚かされたのが、海の透明度。オーストラリアでこれまで訪れた海のなかでも、

とびきり美しいと感じた。自転車で島を走っていると次々と小さな入り江が現れ、

そのたびにペダルを止めて海へ駆け込みたくなる。

この豊かな海を未来へ残すため、島の周辺には「マリーンサンクチュアリーゾーン」と呼ばれる

海洋保護区域が設けられている。サンゴや海草が育つ海には、多様な魚類をはじめ、

ウミガメやイルカなどの海洋生物も暮らしている。

これほど美しい海で遊べるのは、その自然が大切に守られているからこそ。

楽しむことと守ることが、ごく自然につながっているのもロットネスト島の魅力だ。

島の果て、ケープ・ブラミンへ

島の西端にあるケープ・ブラミン(Cape Vlamingh)まで足を延ばすと、

穏やかなビーチとはまた違う、ロットネスト島の野性味あふれる風景に出会える。

目の前に広がるのは、遮るもののないインド洋。

この先、約6,436km離れたマダガスカルまで大きな陸地がない。

ウェスト・エンドには、約1km、30分ほどで歩けるトレイル」が整備されている。

海岸線を眺めながら歩いていると、乾いた大地にぽっかりと開いた穴がいくつも現れる。

この一帯には、オナガミズナギドリなど野生動物の巣穴が点在している。

クオッカだけでなく、多くの鳥たちにとってもロットネスト島は大切な生息地。

何気ない土の穴にも、島の生命が息づいている。

運がよければ沖合にバンドウイルカの姿を見ることも。島の東側とは植生も大きく異なり、

潮風にさらされながら生きる植物を眺めるのも、このトレイルを歩く楽しみのひとつだ。

島の人気者、クオッカに会いに

ロットネスト島の一番の人気者といえば、小さな有袋動物クオッカ。

きゅっと上がった口角がまるで笑っているように見えることから、

「世界一幸せな動物」とも呼ばれている。

その愛らしい表情と仕草に、思わずこちらまで笑顔になってしまう。

島を歩いたり自転車で巡ったりしていると、あちらこちらでクオッカに遭遇する。

人をあまり怖がらず、野生とは思えないほど近くまでやって来ることも。

そんなクオッカと一緒に写真に収まる「クオッカ・セルフィー」は、

今やロットネスト島の旅の楽しみのひとつになっている。

とはいえ、彼らはあくまでも野生動物。

触れたり、餌を与えたりすることは禁止されている。

クオッカのほうからやって来るのを待つくらいがちょうどいい。

かわいいからこそ、そっと見守る。

そんな距離感も、この島の自然を楽しむための大切なルールだ。

ロットネスト島に広がるのは、美しい海と豊かな自然だけではない。

そこには、この風景を未来へつないでいこうとする、持続可能な島のあり方が息づいている。

笑顔を誘うクオッカとの出会い、透き通る海と白い砂浜、

潮風を受けながら自転車で走る時間。そして、その美しさの奥にある島の歴史や、

自然と共生するための取り組みを知ることで、旅の風景はさらに深みを増していく。

可愛いモモイロインコにも会えた。

「世界一幸せな動物」に会いに来たはずが、この島そのものが好きになった!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)