その時　新宿は

その日は朝から打ち合わせ
新芽がでたばかりの植物をベランダ出して出かけました。
昨日充電したはずなのに携帯のバッテリーがほとんどない。
いつもと違うことに違和感を感じながら打ち合わせへ。
午後2時40分打ち合わせが終わって
新宿西口に向かって歩いていました。
突然、乗り物酔いのようなめまいに襲われたような感覚
バス停の屋根が上下に激しく揺れていました。
その直後、道路がうねったように感じました。
そこでようやく地震に気が付き歩道の真ん中で足を止めると
「危ないから早くこっちへ！」という声が
柱の影で待機していた男性が手招きをしてました
彼は阪神大震災の被災者で
さきほど東京に着いたばかりだったと話していました。
京王デパートの屋上に建てられている避雷針が
左右に大きく揺れている。
数日前から地震が発生している東北沖が震源地だと確信しました。
携帯のバッテリーがないのでワンセグも観られない状態
情報が全くない。
地震が落ち着いたところで
止まっているだろうと思いつつ地下鉄の改札へ
首都圏の鉄道は全線ストップでした。
復旧までに1時間くらいということだったので
改札前で待っていると余震で天井に下がった案内板が揺れ
地下にいた大勢の人が停止しているエスカレーターを
外に向かって駆け上がりプチパニック状態に
1時間経っても全く状況が変わらず
バスで少しでも近くまで行こうと外でへ出ると
ルミネの壁から水が湧き出ていて辺りは水浸し。
道路は車がほとんど動いていないのを見てバスも諦める
JR、他の地下鉄どの改札を見に行っても状況は一緒。
状況は変わらぬまま3時間が経ち
携帯も使えない情報もよく得られず
交通手段はないと判断し歩くことを決める
ヒールの高いブーツを履いてきたことを後悔しつつ
浅草に向かって歩きはじめました。
まるでラッシュ時の鉄道のように歩行者は車道まではみ出し
歩くこともままならない。どこまで歩いても大渋滞です。
車も全く動いていない。
鉄道にはこれだけの人を運んでいるんだ・・
ようやく皇居がみえてきました。
お濠沿いの桜並木にふっくらとした莟がついていました。
ああ、もう春なのか。
そんな風景にほっと癒され気持ちに余裕ができてきました。
日本橋辺りの古いビルのガラス窓が割れていました。
新宿から歩いて3時間、家路に辿り着きドアを開けると
家の中はみごとに足の踏み場がない。
なぜか床に水が飛び散っている。
靴のまま上がると、それは水ではなく油。
オイルポットが棚から落ちて
床から壁から油まみれ
帰れるだけありがたい。
落ち着いてテレビをつけると、その光景に言葉もでない。。
余震が続き、今も東京もゆれ続けまだ緊張が走ります。
海外からも支援に来てくれる。本当にありがたく嬉しいです。
みなさま希望を失わずに気持ちをしっかり持ってがんばってください。