四川料理のルーツを探る旅


今年も旅博が始まりました。
挨拶を兼ねて見てきましたが
やはり中国と香港のブースはありません。残念です。

現地での抗議デモ活動で「渡航控え」ムードも

お互い冷静に問題を解決していただかないと

私も気持ちよく中国の話し書きにくいないじゃないですか

といいつつ、四川料理のお話です。

中国4大料理のひとつに数えられる四川料理の特徴は
大陸の西南部、揚子江の上流に位置する温暖な気候と
山あり川ありの肥沃な盆地が豊かな穀倉地帯を育み
「天府の国(天が与えた豊かな国)」と呼ばれてきました
「甜・辛・酸・苦・香」という多様な味に
「麻」と「辣」を加えて仕上げる料理が

「食在中国、味在四川」と例えられています

食の宝庫は中国にあり、味の宝庫は四川というわけです。

向かうところは当然、陳麻婆豆腐本店。
テーブルに運ばれてきた真っ赤な汁に浸かった麻婆豆腐。
レンゲですくって口に運ぶと
刺激的な辛さが口全体に広がり
香ばしさが追いかけてきて
爽やかな香りが鼻を抜け
しばらくすると舌がビリビリと痺れてきます。
これが、本来の麻婆豆腐。
この刺激的な風味の正体こそ
花椒という中国特産の山椒の痺れる風味
「麻」と、豆板醤の「辣」であり
併せて「麻辣=マーラー」なのです。
深紅に浸る四川料理の数々がこの麻辣を基とし
この地方特有の風味となっています。
そして、その芳醇な香りと刺激的な味の
虜となる人も多いはずです。

成都から車で1時間ほどの「成都川菜博物館」は
食文化の博物館としては世界初の施設。
川菜とは四川料理を指し
四川省の食文化の歴史や資料の展示に加えて
当時から変わらぬ製法で作られる
豆板醤作りの見学ができます。

豆板醤は空豆を発酵させ
塩、唐辛子と合わせて甕で1~3年寝かせます。
毎日、太陽が出れば甕の笠をはずし
日の出に1回、夕方に2回のみ甕の底からかき回す。
時間をかけて丁寧に作ってこそ
旨味がギュッと凝縮された独特の香りを持つのです。

と博物館員の李さんは話していました。

また、エビチリには熟成期間の短い
鮮やかな赤色になる豆板醤を
麻婆豆腐や回鍋肉などは
熟成された深紅の豆板醤を使用する

など、料理によって使い分けているそうです。

さらに衝撃的な新事実を突きつけられました。
唐辛子が中国に使われるようになったのは
17世紀後期のことで中央アメリカから中国に伝来。
中国の長い歴史に比べたら唐辛子の登場はとても若い

四川の夏は温度や湿度が非常に高いため
保存が効くように唐辛子や
香辛料を使った料理が重宝されたのと
辛いものを食べて汗をかき
新陳代謝を促して病気を予防するという

生活の知恵から発展しました。

ちなみに中国では唐辛子を「辣椒」と書きますが
四川では「海椒」ともいいます。
漢字から推測しても海を渡ってきたことがわかります。

と李さん談

私は「唐辛子」と書くだけに中国では古くから食され
後に日本に伝来したのかと思いきや
唐辛子が日本に伝来したのは諸説ありますが
16~17世紀初頭にかけてのことなので
中国よりも早く唐辛子が伝来したことになります。

へーへーと博物館でひとり興奮

ちなみに上の料理は夫妻肺片(ふさいはいへん)
牛の内臓を香辛料を利かせて煮込んだ
現地でとってもポピュラーな料理。
辛いけど美味しいと言い続け箸が止まりません

 

また唐辛子が伝来する以前の四川料理には
花椒の痺れはあったものの
唐辛子のような刺激的な辛さを出す
辣の風味はなかったのです。
紀元前からの歴史を持つ四川料理に
革命的な出会いとなる唐辛子が加わり
世界にその名を馳せる四川のソウルフード
「麻辣」が出来上がったというわけです。

食の世界史は知れば知るほど面白い!

 

2 comments to “四川料理のルーツを探る旅”

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