安らぎに出会う町 ホイアン 朝編

 

ベトナム中部の町ホイアン。
トゥボン川が東シナ海に注ぐ河口に位置し
15~18世紀の間貿易風と海の恩恵を受けて大いに隆盛しました。
今も残る古き良き時代を今に伝える町並は
1999年に世 界文化遺産に指定され
世界中から訪れる多くの旅行客で賑わっています。
2km四方ほどの町並みには受け継いだ伝統を守りながら暮らす
人々の日常が垣間みられます。

また、ホイアンは漢字で「会安」と書きます。
ホイアンは私たち旅行者が安らぎに出会う場所でもあります。

 

 

湿度と気温が高いホイアンは日中仕事はあまりしません。
その代わりに早朝と夕方から夜にかけてとても賑やか。
朝4時。まだ太陽が昇る前のトゥボン川では
漁をする小さな船を見かけます。
大きな漁船は東シナ海の沖に出て大きな魚を
手漕ぎ船は河口で夜のうちに仕掛けておいた
網にかかった小魚を獲ります。

 

 

漁の様子を見ていると、一艘の船が近づいてきました。
笑顔で蟹を見せてくれたので自慢しにきたのかと思ったら
どうやら売りにきたようでした。蟹を一杯買ったところで
そのまま食べるわけにもいかないので
「要らないよ」と繰り返すけど粘り強いおばちゃん。
これぞベトナム人気質です。簡単には引き下がりません

 

太陽が昇る頃には、先ほどまで漁に出ていた漁船も戻り
町の市場は活気づいています。
市場には鮮魚や野菜、果物など
色とりどりの食材が並んでいます。

 

 

市場は新鮮な食材と共に乾物や日用品まで何でも揃います。
ホイアン名物の麺「カオラウ」の乾麺を売る
今年で80歳のチャイおばあちゃん
毎日同じ場所で麺が売り切れるまでいます。
チャイおばあちゃんの家は
代々200年カオラウの麺を作り続けています。
カオラウを提供するレストランやお店で
チャイおばあちゃんを知らない人はいないほど
カオラウ界の有名人。
町のあちらこちらで食べられるカオラウですが
製麺は3箇所ほどしかありません。
中でも一番生産量が多いのが
チャイおばあちゃんの製麺所だそうです。

それならせっかくなのでお宅を拝見させていただきました。

 

 

町から車で20分ほどの郊外に
チャイおばあちゃんの自宅兼製麺所はありました。
家族総出でまさに麺作りの最中でした。
土間の竃には火が燃え盛り
お父さんが汗を流しながら蒸している麺の様子を確認中。
蒸した米粉を息子が伸ばし、母と娘が伸ばした麺を切る。
それを再度蒸す。
一家は手を休めることなく無言で働いています。

隙を狙ってお父さんに話しかけると
「夜中の1時に起きて午前11時まで仕事をするよ。
一日200キロくらい作るんじゃないかな。
重労働だけど、200年やってたら辞めるわけにはいかないでしょ。」

ここでも伝統は受け継がれています。

 

チャイさん一家が汗水流して作ったカオラウ麺は
お洒落なカフェやホテルのレストラン
街角の屋台などで食べられます。
ちなみにカオラウは石灰が適度に含まれた
ホイアンの水がなければ作ることがでないご当地麺なのです。

 

 

カオラウの要となる水は毎日町の井戸から汲まれてきます。
カオラウ用だけでなく、住民ちもタンクを持って水を汲みにきます。
当然家庭には水道は引かれていますが
これもホイアンに受け継がれてきたものの一つなのでしょう。

 

 

路地裏の民家では笹で包まれたお団子が
軒下の笊に並べられていました。
これはホイアン名物の
「バインイットラーガイ」と呼ばれるお団子。
ガイと呼ばれる葉で色づけした緑豆餡入り草餅です。
大通りの電柱をよく見ると小さな看板に
「Banh It La Gai→」
と書かれてあるので矢印のほうに行けば売っています。
味は甘すぎずいたって素朴。
餡はキビの味に似ています。ぜひお試しあれ。

 

 

【取材協力 ベトナム航空】

 

 

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