グッゲンハイム美術館と旧市街

ビルバオ川沿いの下町に輝く船型をした建物。
グッゲンハイム美術館はビルバオのランドマーク的存在。
都市再生プロジェクトの一環として
1997年に近現代美術専門の美術館として開館しました。

 

かつて工業都市だったビルバオは
経済環境の変化により急速に産業基盤を失い
悪化するイメージの払拭と再開発を目的として
ニューヨークのグッゲンハイム財団が持つ文化資本に着目。
ビルバオとグッゲンハイム財団がともに利得を享受する
win-winな交渉が成立し
グッゲンハイム美術館のビルバオ別館は
1997年にオープンしました。

フランク・ゲーリー氏による建築デザインが注目を集め
来館者数は毎年100万人超の大成功を収めました。
その抜群の集客力のおかげで、バスク州政府は
負担した建設投資額3年間で回収できたそうです。

美術館誘致で観光都市として再生したこの成功例は
「ビルバオ効果」と呼ばれ
都市開発の1つのモデルとなりました。

 

 

 

行列を避けるために事前にネットで
開館時間の朝9時で申し込み購入済み。
念のため15分前に美術館に到着すると
開館を待っている人は10人ほど。
拍子抜けするほどに人がいませんでした笑。
これならゆっくりと独占して鑑賞できます。

 

 

 

 

 

ロビーは白壁と上部がガラス張りとなっていて
自然光が館内に溢れています。

 

 

 

 

ビルバオ・グッゲンハイムの目玉とも呼べる
リチャード・セラの巨大な鉄のオブジェ。
迷路のようになっている
うねる鉄板を来訪者は行ったり来たり
まさに「そこ」に行かなければ見られないアートです。

1Fの奥には言葉を取り込んだ作品作りで知られる
ジェニー・ホルツァーの
「インスタレーション・フォー・ビルバオ」。
高い天井に向かって伸びるLED板に
英語・スペイン語・バスク語の
3か国語で言葉や詩が走ります。
下から見上げると何とも不思議な感覚。

外のデッキには、ジェフ・クーンズのチューリップと
その奥に広がる水辺には中谷芙二子氏の「霧の彫刻」。
一定の時間がくるとミストが発生して
子供たちは大喜びで走り回ります。

美術館の入り口ではジェフ・クーンズによる
巨大犬「パピー」がお出迎え、お見送りをしてくれます。
美術館は彫刻の他バスキア、ウォーホール
ピカソ等の絵画もあり、かなり見応えがあります。
一通り見るには最低2時間は必要とするでしょう。
私は若干急いで鑑賞して3時間かかりました。
ミュージアムショップもありますが
期待したよりも充実していなかったのが残念。

美術館を出るとバスク人たちのデモでしょうか。
大きなバスクの国旗を広げて集会が開かれていました。

 

 

 

旧市街では100人くらいの若者たちが
全員でドラムを叩きながら走ったり
踊ったりして練り歩いてパフォーマンスをしていました。
その迫力、熱気たるや凄まじいこと!
一糸乱れぬリズムで叩くドラムワークは
もはやこれもアートと呼べるでしょう。

 


旧市街に建つサンチャゴ教会。
日曜日はバスク語を交えた
ミサが行われます。

サンチャゴ教会は
サンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の
途中にあったために建設されたそうです。
壁には巡礼のシンボルである
ホタテ貝も埋め込まれています。

スペイン西北端に位置する
サンチャゴ・デ・コンポステーラには
聖ヤコブの遺骸があるとされています。
ヘデロ王によって斬首されたヤコブの遺骸が
船によって運ばれてきたとき
船底にたくさんの貝が付着していたそうです。
それ以来帆立貝はヤコブの象徴となったとのことです。


ビルバオは近未来的だけでなく、歴史と伝統もしっかり残っているところです。

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