モンテネグロの小さな町歩き 〜500年の歴史を守り続けるリゾート

モンテネグロきってのビーチリゾート
ブドヴァから車で10分ほど
エレガントな海岸線に佇む
かつての王妃夏の別荘と
向かい合うように浮かぶ出島 —
かつて漁村だったスベティステファン島。
その歴史的価値と、素晴らしい景観と環境を守るべく
5年の歳月を費やしアマンリゾートとして
生まれ変わりました。

 

アマン・スベティステファンは森林を背に
ピンクの砂浜の前に建つヴィラ・ミロチャーと
「ヴィレッジ」と呼ぶ出島を有します。

ヴィラ・ミロチャーはかつてユーゴスラビア王国の王妃
マリア・カラドルデヴィッチの夏の避暑地として
1934年に建てられました。
そんな気品のある優雅な佇まいをそのままに
ヴィラを改装してアマンのゲストをお迎えしています。

 

 

芝生を敷き詰めた中庭のテラスからは
真っ青なアドリアの海と
もうひとつのアマンが立つ出島を見渡します。

 

ヴィラ・ミロチャーの前の道や裏山は
一般開放されている公共エリア。
（目の前のビーチはアマンリゾーツ管轄）。
ホテルの前を一般の人々が往来するのは
はじめはちょっと不思議に感じましたが
あえて独占せず、美しい景色をみんなで
分かち合いたいという意識に共感を覚えました。

 

 

ヴィラ・ミロチャーからビーチ沿いを
10分ほど歩くと出島の「ヴィレッジ」。
ここは、15世紀にトルコ人からの攻撃を守る
要塞の島として村が作られたのが始まりで
19世紀には400人の村人が暮らしていたそうです。

しかし、1950年代に政府所有の土地となり
村人は立ち退かされて
村全体が高級ホテルに生まれ変わりました。
当時は女優のソフィア・ローレンや
英国のマーガレット王女など各国の貴族や著名人が
度々訪れてバカンスを楽しんでいたといいます。

しかし、1990年代に起きた紛争と分断で
ホテルは終止符を打ちます。
それから時は流れて2005年
過去の輝きを取り戻すべく政府はアマンリゾーツに
その将来を委ねることを決定したのでした。

スベティステファンは幾重もの
歴史が積み重ねられたリゾートなのです

ビレッジの通り、外壁、屋根、ファサードといった
建物を構成する部分は原型をそのまま維持し
建物の内装が改装されています。
島内に50室あるゲストルームは
古くからの家々をそのまま利用しているため
同じカテゴリーでも同じ部屋がありません。

 

 

ダイニングとバーは全部で10か所。
まずはヴィレッジの中ほどにあるピアッツァ
（広場）のテラスで「モンテネグロの料理が食べたい」
とお願いすると、焼きたてのパンと共に生ハム
チーズ、オリーブ、魚貝、野菜がふんだんに乗った
ご馳走プレートを出してくれました。

 

 

ビレッジに巡らされた迷路のような
細い路地や石の階段、点在する
小さなセルビア正教会など
町がそのまま残されています。
ゲストはまるで島の住人になった気分です。
小さな島ですが小径がたくさんあるので
はじめのうちは部屋に戻るのにも迷ってしまいます。

 

 

 

教会は今でも司祭さまが朝と夕方やってきて
扉を開閉します。

 

スパ棟には65平米のトリートメントスイートを
4部屋、池と庭園に面した4つのプライベートテラス
3つのサウナルーム、個別のプランジプール
スチームシャワーからなるハイドロセラピールー
ムを完備。併設されているガラス張りの屋内プールは
たっぷりの自然光と優しい緑に癒されます。
スパ棟の隣りに立つヨガスタジオでは
無料のヨガレッスンが受けられます。

アドリア海に沈む素晴らしい夕日も独占です。

 

夜の海と遠に揺らめく街の明かりとともに
ロマンティックなディナーを。

 

スタッフのみなさんはいつも
「おはよう」「今日もいい天気ですね」
「おやすみなさい」などとすれ違う度に
声をかけてくれる本当に心の温かい人たちばかり。
村の住人に迎えられたような気分で
滞在することができました。
おかげで帰る頃にはみなさんと別れるのが
淋しいくらいで。

ハード面もさることながら
「おもてなし」が心に染みた滞在でした。