普段のアンコール遺跡は18時頃ゲートを閉めてしまうのですが、4月14〜16日のクメールのお正月前後は、夜間アンコールワットがライトアップされ、参道の前まで行くことができました。折しも満月で、アンコールワットを挟んで空と池に浮かぶ月が幻想的です。しかし、お正月三が日はたくさんの催し物が開催され、カンボジア全国から訪れる人々で、日中の遺跡見学は恐ろしい混雑ぶり。一年に一度の特別な体験を望むなら、遺跡の見学はお正月前に済ませて、お正月期間中はお祭りムードを楽しむのが良いでしょう。イベントに合わせて旅をするのも、その土地の風土や伝統が見られていいものです。
雲ひとつない夜明け前。紐で繋がれたバルーンに乗って、180メートル上から朝焼けのアンコールワットを眺めます。
日昇とともに森に霧が溜まって霞んでしまった。密林に眠る雰囲気は出ててるかな。 次は地上からアンコールワットを見学します。大伽藍と美しい彫刻が施され、訪れる者を惹きつけて止まないアンコールワット。クメール建築の傑作といわれ、カンボジア国旗の中央にも国の象徴として描かれています。 まずはヴィシュヌ神にご挨拶。お正月仕様でいつもよりお召し物がきらびやかです。アンコール王朝の第18代王スーリヤバルマン2世はヴィシュヌ神を篤く信仰していました。 アンコールワットの楽しみのひとつは、女官や踊り子たちをモデルにして彫られたといわれる素晴らしいデバター像。建物の壁面の空間を埋め尽くした艶やかな容姿のデバターは、一体一体表情や仕草が異なり、生き生きと描かれています。これらを見ているだけでも軽く1時間は過ぎてしまいます。 横から見るとまた美しい。石工たちはどんな想いを込めて掘ったのか。愛しい人を思い浮かべながら、それとも理想の女性像か。想像が膨らみます。 アンコールワットだけでもデバターは2000体もあるといわれます。寺院自体も大きいですが、これほどデバターが施されている寺院は他に見当たりません。 第一回廊の東麺に描かれているヒンドゥー教の叙事詩にある天地創造物語「乳海攪拌」の一場面。神様と阿修羅が不老不死の薬を巡り大蛇を千年間引っ張り合う神話。 入り口脇の石垣では、お正月のセレモニーでアプサラの舞を披露する女性たちがスタンバイ中。まるで壁の彫刻から飛び出してきたようです。 お正月名物の綱引きは乳海攪拌を由来としているのだそう。他にもタイのムエタイの前身となる、クメール時代の拳闘「ボッカタオ」や水牛レース、灯籠流しなど盛りだくさんの3日間です。
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