ペルー南部の街、世界文化遺産に登録される
アレキパ から天空の湖チチカカ湖を抜けインカ帝国の都クスコまでの750キロ。
豪華列車「Belmond Andean Explorer」で標高5000メートルを超える
アンデスの山々を駆け抜ける2泊3日の鉄道紀行。
ペルーは遠い。東京からL.A.またはダラス、またはアトランタまで約10〜12時間。
そこからさらに6時間。
ドアtoドアで24時間くらいかかる。
それでも何度でもペルーに行きたくなるのは
アマゾンからアンデスまで広がる多様な自然と文化に毎度驚きと発見があるからだろう。
旅の目的や行き先によって初めて来た国かと思うほど、目新しいことだらけだ。
3度目のアレキパだが、アレキパ の空港で迎えてくれる壮麗なミスティ山は毎度感動的。
世界遺産に登録されているコロニアルな白い街並みも美しい
美食の中心と言われるだけありご飯もおいしくスターシェフのレストランで気取ることなくいただけるペルー国内でも一押しの街。そんな素敵なアレキパから鉄道の旅は始まる。
駅舎の専用待合室には、夜の出発に向けて世界各国から続々と乗客が集結。
アレキパ は植民地時代に銀や羊毛といった交易ルートの交差点として発展した。
アレキパ を基点にペルー独立後いち早く鉄道が建設され
アンデスと沿岸部を結ぶ交通路として大きな役割を果たしてきた。
現在は、オリエント急行を運行するベルモンド社とペルー資本によって共同運営され、
豪華寝台列車で750キロの道のりを2泊3日かけてゆっくり巡るアンデスの旅へと乗客を誘う。
出発前のウェルカムパーティーではフォロクローレダンスと音楽で鉄旅の始まりを盛り上げてくれる。
ホームにはミッドナイトブルーの美しい列車がゲストの乗車を待っている。
レッドカーペットで記念撮影してキャビンへ。列車は、夜のアレキパを静かに滑りだした。
白を基調にしたエレガントなキャビンにチャーミングなブルーのソファー。
預けた荷物はすでに部屋に入っていた。豪華列車といえど、客室の広さには限りがあるので不必要な荷物はストアレージに預けておける。
キャビンは全部でたったの35部屋。アンデスを駆け抜けるブティックホテル・トレインだ。
クルーは50名。ナースとセキュリティースタッフとして警官が常駐し万全の体制を整えている。
列車バーラウンジはこれぞオトナ浪漫の旅。眠りにつく前に、窓越しの大きな月を眺めながらピスコサワー、ポルファボール。
そして深夜、キャビンに戻る途中で列車が大きく揺れて体が傾き、食堂車のワゴンの角に小指を思い切りぶつけて見事に骨折した(T . T)
翌朝、紫色に腫れ上がった小指を見たナースは「あら、まるでオカね」。
オカとはアンデスの紫色のジャガイモ。なるほど、ペルーらしい例え。
朝6時、やわらかいベッドから起き上がり、コーヒーを片手に展望デッキへ。
爽やかな朝日を浴びながら、ゆっくりと身体を覚醒させる。と言いたいが、
ここは標高3000mを超えるアルティプラーノ。
その上、7月だが南半球は冬。外に出ると凍えるほど寒い。
車窓を楽しみながらペルーの朝ごはん。もちろんベーコンや卵といった普通のメニューもある。
アンデスにいると、コーヒーよりもムーニャというアンデスミントのお茶が欲しくなる。
最初の目的地チチカカ湖が見えてきた。