バンフの夜は夏でも寒い。フリースを着込んで真夜中のホテルを徘徊する。
宿泊客はもう眠ってしまったのだろうか
せっかくの満月の夜なのに外を歩く人は誰もいなかった。
大きな月は月明かりで本が読めそうなくらい地上を照らしている。
周囲を山に囲まれているので、月が顔を出すのはほんの数時間。
顔をのぞかすその数時間は存在感をアピールするかのように
どこにいても月が目に飛び込んでくる。
そして月が山に隠れる寸前、まるでこれから昇る太陽のような光を放っていた。
程なくして月は完全に沈み、周りにある明かりはホテルの照明だけとなった。
しかし、この後、思いがけない光のショーの贈り物をいただいたのだった。
つづく。