深夜1時を過ぎ、満月も山の向こうに沈んでしまい、そろそろ部屋に戻ろうかと思ったその時、
東の空がにわかに明るくなったような気がした。
山の上にかかった雲がちょっと緑色に見えた。
雷雲かな?と、しばらく空を見つめていると
やがて細い緑色の光が3本、山の上から光りを放ちだした。
3本の光はゆらゆらと動きだして広がり
3つのカーテンのように東の空いっぱいにひらひらと舞いだした。
はじめは緑の単色だったのが、そのうちピンク色や黄色を帯びたカーテンに。
これがオーロラか。
初めて見たオーロラは、あまりの唐突な出来事に、
ただ唖然と空をポカンと見ているだけで何もできなかった。
写真!とハッとして、カメラを構えたころにはオーロラもほぼ消えかかっていた。
オーロラの出現は時間にしたらほんの10分くらいだったと思う。
真夏のしかもそれほど北でもないロッキーの山の中でオーロラが見られるなんて
宿泊客みんなを叩き起こして見せてあげたかった。