神々が棲まうウブドの森 バリ・リゾートの原点アマンダリ

バリ芸術の中心、ウブドにおけるヴィラリゾートの先駆けとなったアマンダリ。

1989年の開業以来、周囲の環境との融和の中でバリの神秘を体現し

ゲストは暮らすような感覚で土地の文化や人々に触れることができる。

「平和なる精神」を意味するアマンダリは7世紀にヒンドゥー教の僧侶が湧き出る泉を見つけ

「神々の集う場所」と名付けられたクデワタン村に立つ。

敷地内には僧侶が村の幸福を願って残した石造りの虎が鎮座する。

「ウェルカム トゥ アマンダリ」

伝統衣装を着た村の少女たちが花びらを撒いて出迎えてくれる。

敷地内には、アランアランの藁ぶき屋根と地元の素材を使った30棟のヴィラが立っている。

全てのヴィラからアユン渓谷やライステラスを望む。

谷を流れる川は涼しげな水音を響かせている。

熱帯の草花や蝶が舞うリゾートを散策していると蓮池の前にある建物で

村の子供達が伝統舞踊の練習をしているところだった。クデワタン村で生まれた女の子は

アマンダリで伝統舞踏を習うことが当たり前になっているそうだ。

アユン川が流れる渓谷を渡る風が心地よい遅い午後

芝生に座り熱帯のジャングルを眺めながら

地元の村から届けられるスイーツと共に楽しむアフタヌーンティー。

この時間、このホスピタリティこそがアマンなのだ。

リゾートにほのかな明かりが灯る頃、ガムランやドラムの大きな楽器が運ばれてきた。

「今夜は村の子供たちによる伝統舞踊が開かれるのでぜひご覧になってください」

半屋外のロビーエリアに楽器がセットされ、宿泊ゲストが集まった。

ガムランの音とともにレゴンクラトンのダンスを披露する少女たちの妖精のような愛らしさと同居する真剣な表情、大人さながらの演舞に引き込まれていく。

まるで村の子供達の成長を見届けているような、そんな温かい気持ちにもさせてくれた。

静かにディナーを楽しみたければ、アマンダリで食事をすることを強くおすすめする。

この頃のウブドはどこへ行っても賑やかだ。

アマンダリでは、バリの豊かな食文化はもちろん、各国料理も楽しめる。

地元のオーガニック食材や、海で水揚げされたばかりのシーフード、希望があればメニューにないものも。

ディナーはガムランの音を聞きながらオープンエアのレストランで

あるいは部屋でリラックスして食事を楽しむのも良いし、眺めの良いサラでいただくのも素敵だ。

早朝トレッキングのアクティビティを担当する村の青年とともに鬱蒼と茂る森を歩いて、アユン川の西にあるボンカサ村へ。

渓谷を下りて行くとアユン川が、まるで神々の叫び声のようにもの凄い轟音を立てて、薄暗い森に響き渡っている。

木製の吊橋を慎重に渡りさらに森の奥へ歩いてゆくと、野生のタロイモやジャックフルーツ、コーヒー、カカオ、クローブなどの熱帯の木々が朝の木漏れ日に輝いている。

露に濡れる瑞々しい稲穂がさわさわと耳に心地よい音を立てて風に揺れている。

ゴールのボンカサ村は、バリで最も古く巨大なバンヤンツリーが村の守り神として祀られ、女性たちが「チャナン」と呼ばれる椰子の葉で編まれた小さな皿に色とりどりの花を盛った供物を神々に捧げていた。その様子には、「美しいものを捧げたい」という心が映っている。

バリという名は「供物」に由来するという説がある。神々と共に生きる日常風景は、島そのものが捧げものなのかもしれない。そんなウブドの原風景を垣間見た。

ボンカサ村で待っていたアマンダリの車に乗ってリゾートへ戻って朝ごはん。

搾りたてのジュースとコーヒーの香り、焼きたてのパン、インドネシア式・・・

朝の気分で好きな場所で好きなものをお気に召すままに。

午前中はプールサイドでアユン渓谷を眺めながら非日常の時間を満喫なんてどおでしょう。

流れる水の音と、時折吹き抜ける風がとても心地よいスパ。

「平和なる精神」を意味するアマンダリを、身をもって実感。

ロビーでクバヤにスレンダンという腰帯を巻いた正装姿のエレガントな女性がゲストを迎えていた。シティさんはこの村にアマンダリを誘致した一人で、オープン以来ゲストをもてなし、文化面の相談役として月に2回ほど顔を見せている。

「アマンダリのテーマは”リビング・ウィズ・コミュニティ”。クデワタン村の住人たちに喜んで働ける環境をつくり、建材や食材なども近隣から調達する共存共栄を心がけている。ゲストもスタッフも近隣の人々も皆が幸せであることが大切だとシティさんは話していた。

そんなアマンダリだからこそ、30年以上に渡ってバリ・リゾートを牽引できる力があるし土地にしっかりと根付いている。ゴージャスなリゾートが多くなった昨今、アマンダリのように小規模だからこそ実現できるシンプルで最高のホスピタリティを体験できるリゾートはむしろ貴重な存在だ。

そういえば、チェックアウトまで部屋番号を聞かれることは一度もなかった。

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