激動の歴史をくぐり抜けたコーヒーの木

 

サイパンで一番高いタポチョ山には
日本の委任統治時代に栽培されていた
コーヒーの木が戦火をくぐり抜け
今も静かに自生しています。

 

遡ること1914年、第一次世界大戦が勃発。
赤道以北のドイツ領を日本が占領し
第一次世界大戦終結後から
30年間
サイパンを含む南洋群島は
日本の委任統治下に置かれました。
 

  

1921年(大正10年)製糖事業を主とする国策会社
「南洋興発株式会社」がサイパン、ロタ、テニアンに
設立されました。作業員に
3万人近くの日本人の内
8割は沖縄からサイパンに移住しました。
事業の発展は目覚ましく当時成功を収めていた
「南満州鉄道」に対して南洋興発は「海の満鉄」
とも呼ばれていました。
製糖業の他にも水産、農業、製酒、鉱業、貿易など幅広く
事業を拡張し南洋における最大の企業にまで成長しました。
その中にはコーヒー栽培もあり最盛期では
年間
290トンのコーヒーを日本に輸出していました。

 

戦後、閉鎖機関に指定された南洋興発は解散。
かつてコーヒー農園があったタポチョ山には
今も数百本のコーヒーの木が自生しています。
山を歩けば小さな赤い実をつけた
コーヒーの木を見ることができます。

創業者の松江春次は「シュガーキング」と呼ばれ
サイパンで最も有名な日本人として知られています。
後に彼の功績を称えて「シュガーキングパーク」が設立され
松江氏の銅像と
1944年まで使われていた
サトウキビ運搬用の機関車が飾られています。


かつてサイパンにコーヒー農園があったことを聞いた
カリフォルニア出身のジョーダン夫妻は
ハワイでコーヒー栽培を学んだ後
新天地を求めてサイパンに移住。
コーヒーが
実をつけた
2003年から
「マリアナスコーヒー」を設立し本格的に
サイパン産のコーヒーの栽培と生産に従事しています。
現在は日本が残していったコーヒーの木と
海外から輸入した苗木を栽培。
とはいうもの夫婦ふたりで手掛けるコーヒー農園
収穫できるのはごくわずか。
サイパン産コーヒーはまだまだ貴重な存在です。
現在スーパーやギフトショップで見られる
「マリアナスコーヒー」は輸入した豆を
ここで焙煎したもの。将来的には
サイパン産コーヒーの量産を安定させたいとのこと。
ジョーダン夫妻曰く「日本の豆
100%のコーヒーは
これまで飲んだコーヒーの中でも最高!」

いつの日か日本が残した
サイパン産コーヒーを味わってみたいものです。

12 comments to “激動の歴史をくぐり抜けたコーヒーの木”
  1. SECRET: 0
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    何となくの歴史は本で知っていたつもりでしたが…まだまだですね~
    コーヒーの木にもこんな深いそして夢のある話があるなんて(*^^*)ますますサイパンが好きになります!
    マリアナコーヒー…いつしか世界的なコーヒーになりますよう見守ります!
    いつもホント素敵で貴重な情報をありがとうございます(*^^*)
    まも

  2. SECRET: 0
    PASS:
    いつものサイパンも
    目線を変えると新鮮ですね☆
    マリアナスコーヒーのオーナーは
    お2人ともあまり欲がなく
    コーヒー好きが興じて農園やってる感じでした
    いつか純サイパン産コーヒー飲みたいですね☆

  3. SECRET: 0
    PASS:
    「南満州鉄道」という言葉を、教科書で見たような気がする、という程度の記憶がありましたが、実際は、記事に書かれてあるような時代の中で、使われた言葉だったのですね。
    大変、勉強になりました。
    コーヒー豆は、もともと赤い実なのですね。
    一度、焙煎前の生のコーヒー豆を見せてもらったことがあるのですが、その時の見た色から、うすい黄緑色だと思っていました。赤い皮をむいたあとだったのですね。
    コーヒーは、私の生活には必需品です♪一度飲みすぎて胃を壊してしまったことがあるくらいw
    マリアナスコーヒー、是非、飲んでみたいですね(^-^)

  4. SECRET: 0
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    今晩は、サイパンで日本人がコーピー栽培していたなんて知らなかったです。
    コーヒーの実は赤色なんですね、以前気豆を買って、焙煎して飲んでいましたが、そのときの豆まだ持っていますが、黄緑色しています。
    一皮むいて入ってきていたのです。
    マリナスコーヒ、飲んでみたいです。

  5. SECRET: 0
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    コーヒー栽培のことも、南洋興発なんて会社のことも知りませんでした。それに、サイパンを30年間も統治していたなんてことも・・・!
    考えたら、インドネシアもコピが美味しいから、赤道付近はコーヒー栽培に適しているのかしら。それにしても、「日本の豆100%」と言われてましたが、「日本の豆」って何だろう? そもそも最初、コーヒー園を造る時、コーヒーの苗はどこのコーヒー苗を植えたのか気になりました。^w^ 
    サイパン、深いんですねー!

  6. SECRET: 0
    PASS:
    長崎や沖縄あたりはギリギリコーヒーベルトにかかるのでコーヒー栽培可能だそうです。
    そして確かに「日本の豆」気になりますね。
    明治11年にジャワ島で入手した苗を小笠原で栽培を成功したそうですが、サトウキビ栽培に追われ廃止され、その後も台湾や沖縄でも栽培されたが大規模栽培には至らなかったそうです。(wiki調べ)それで沖縄からサイパンでの栽培に持ち込んだのでしょうね。
    気になっていただきありがとうございました☆

  7. SECRET: 0
    PASS:
    このコーヒーの木を見たくて
    4月にまたまたサイパンに行く事にしました!ゆっくりタポチョ山を巡ってきます!
    本当にありがとうございます(*^^*)
    これからも教えて下さいませ♪
    まも

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