沙羅双樹の木の下で

 

プノンペンの観光スポットに咲いている沙羅双樹の花。この花の寿命はわずか1日。朝に咲き夜には花がぽろりと丸ごと落ちます。このはかなさが平家一門の「盛者必衰」を表していると平家物語の作者は考えたわけです。不思議な形と色は熱帯の東南アジアにふさわしくパワフルでエキゾチックで魅惑的です。
 
 
プノンペン市内の王宮の近く、トンレサップ川に面して立つ1440 年代に建立されたワットウナロムは、国内でも最も重要な高僧が在職しています。かつてここには 500 人の僧侶が生活し、仏教図書館には3万冊を超える書籍が所蔵されていたそうです。ところが、1974 年にクメールルージュの首都征圧により、ワットウナロムも破壊されてしまいました。現在は見事に修復されています。ウナロムは眉毛の意味で、寺院裏の仏塔に一人の高僧の眉毛が大切に安置されています。
 
 
日本画家平山郁夫氏の仏教伝来を匂わせる像。シルクロードから白馬に積んで運ばれた経典の場面でしょうか。たくさんの仏旗が揺らめいています。
 
 
「カンボジアの悪夢」といわれたポルポト政権下時代に当時共同通信プノンペン支局長だった石山幸基氏の石碑。山岳地帯で取材中に熱病を患って亡くなられたそうです。
 
猫を撫でる僧侶。のどかな時間。だけど猫の顔をよく見るとおっかない。まるで黒ヒョウのようじゃないか。
 
 
裏庭には沙羅双樹の木の下でくつろぐ市民。穏やかな時間が流れています。平和って素晴らしい。
 
シルバーパゴダの出口にはアンコールトムを造営したジャヤヴァルマン7世像と沙羅双樹。ところで、カンボジアで沙羅双樹と呼ばれるこの木。実はホウガンの木と呼ばれるもので、平家物語にでてくる沙羅双樹の花とは異なるのです。しかし平家物語の沙羅双樹もまた、釈迦が亡くなったときに近くに生えていたことで有名な「沙羅双樹」とは全く別の熱帯樹のこと。白い花つながりってことでそういうことにしちゃったようです。
 
 
砲丸のような実をつけることから「ホウガンの木」と呼ばれているこの花は、厚ぼったい赤紫色の花びらで中心は食虫植物のような雰囲気もある。上座部仏教では、お釈迦様の誕生を見つめていたのがこのホウガンの木とされているそうです。
 
シェムリアップはあっちの遺跡こっちの遺跡と忙しくて周囲の植物まで目を配れませんが、こちらではお寺に咲く草花を見ながらゆっくり過ごせるのがいいですね。
 
 

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