久しぶりに訪れたウブドは、大勢の観光客と交通渋滞にホテル建設ラッシュ。このままだとライステラスはなくなり熱帯雨林の森はハゲ山になりかねないと思うくらいの状況でした。そうは言ってもやっぱりウブドはいい。昨今のリゾートの手本とされてきた「アマンダリ 」は、今年で30周年を迎えました。
「平和なる精神」を意味するアマンダリ。7世紀にヒンドゥー教の僧侶が湧き出る泉を見つけ、「神々の集う場所」と名付けられたクデワタン村に立つ。ここでは周囲の環境との一体化し、暮らすような感覚で土地の文化や人々に触れることができる。
敷地内には僧侶が村の幸福を願って残した石造りの虎が鎮座する。エントランスには村の鎮守として大切にされている虎の石像を模したものがゲストを迎える。
蓮池の前で村の子供達が伝統舞踊の練習に励んでいた。クデワタン村で生まれた女の子は、アマンダリで伝統舞踏を習うことが当たり前になっているそう。
アランアランの藁ぶき屋根と地元の素材を使った30棟のヴィラが配されている。テラスに出るとアユン渓谷から流れるような自然の音が聞こえてくる。
太陽がアユン渓谷の森に少し傾き始めた午後、プールサイドでお茶とお菓子が振舞われる。アユン渓谷を望む芝生に敷かれたマットに横たわり、鳥のさえずりを聴きながらいただくアフタヌーンティーは全身から力が抜けていく感じ。
スパではバリ産素材を使用した心身のバランスを整えるセラピーを。施術の最後にトゥリ・ダトゥというお守りを手首に巻いてくれた。
プールとアユン渓谷を見渡すオープンエアのレストランでは、地元でとれた食材にインドネシアフュージョン料理が楽しめる。アユン渓谷の縁に立つサラのデスティネーションダイニングも。
夕食時はガムランの演奏が毎晩行われており、その音色と自然のコーラスが静かな熱帯の夜を包み込み込む。
翌朝は村人と一緒に鬱蒼と茂る森を歩きアユン川の西にあるボンカサ村を目指して、夜明け前からトレッキング。谷へと下り吊橋を慎重に渡って森の奥へ歩くと、野生のコーヒーやカカオ、フルーツの木々が実をつけ、露に濡れる瑞々しい稲穂が朝の風に揺れている。
ゴールのボンカサ村は、バリで最も古い巨大なバンヤンツリーが村の守り神として祀られ、女性たちがチャナンを神々に捧げている。なんて豊かで美しい時が流れているのだろう。自分の雑な日常が恥ずかしく思えた。
アユン川渓谷の縁に立つサラで鳥の声を聴きながら朝食。リゾートを通じて土地と繋がるアマンでなければ体験できない特別な時間。オープンから30年経っても色褪せることない、むしろ本当に土地に溶け込んでしまったような佇まいは、他では決して味わえない。アマン創始者のフィロソフィーを体現したリゾートです。