古城に滞在してワインフェスで盛り上がる

 

ドイツ人が「父なる川」と呼び慕うライン川。
世界遺産に登録されている
コブレンツ~マインツ間の約65kmに
中世以来の残される、30以上の古城や城跡が見られます。
多くの観光客はクルーズ船から風光明媚な景色を楽しみ
町を通過してしまいますが、実はライン川沿いに点在する
小さな町こそが面白いのです。
ライン川の中間地点に位置する小さな町オーバーヴェーゼル。
町を見下ろす丘の上に立つ古城に宿泊して
一年に一度開催されるワインフェスティバルを楽しみました。

 

前回に続き、バッハラッハから
隣町のオーバーヴェーゼルへ向かいます。
電車で一駅なのですが宿泊先となる古城ホテルは丘の上。
駅前でタクシーは待っていないだろうと
バッハラッハの「ホテル・アム・マルクト」を営む
ユルゲンさんに助言されタクシーで向かうことに。
古城ホテルへ向かう車中で女性の運転手さんと
ワインの話になり好きな銘柄を訊ねると
「そうね。私はトニーヨーストかしら。
ラッツェンベルガーもいいわね。
どちらもバッハラッハ自慢のワインなのよ」。
バッハラッハで出会った人々は
みな地元を心底愛していました。
そんな郷土愛が少し羨ましくなりました。

オーバーヴェーゼルを見下ろす丘の上にあるお城
シェーンブルク城は12世紀のはじめに築城。
幾度か所有者が代わり17世紀には
フランスのルイ14世の軍に破壊され
一度は廃墟となりましたが
1957年からはヒュットゥル家が買収して
古城ホテルとなりました。
「ライン幻想紀行」の著者である
ビクトル・ユーゴーは
かつて廃虚同然だったこの城を見て
「最も美しい廃虚!」だと讃えたといいます。

 

 

お屋敷の中を、猫さんがときどき自分の部屋をぬけだして
ロビーやライブラリーに顔をだします。
そんな自由なところが「城に招かれたゲスト」
の気分にさせてくれるのです。

 

カフェテラはライン川を一望する優雅な空間。
28の客室は同じものはなく眺めもいろいろ。
スタンダードルームは2人利用にはやや狭め。
優雅な気分を満喫するなら、それ以上の部屋をおすすめ。
レストランは雰囲気もよく料理も素晴らしい。
食事だけのために訪れる人も少なくありません。
滞在するならディナーはマストといえるでしょう。

身軽な恰好でホテル裏から山道を歩いて
駅前の町に下りてきました。
小さな無人駅に入ってホームへ向かうと
ちょうど電車がくるところ。
ライン川に沿った線路周辺は中世の建物が多く残り
丘の斜面にブドウ畑が広がる
ヨーロッパでも指折りの景勝ルート。

小さな路地がたくさんあります。
レストランやショップの看板も絵になります。

外壁一面にダリのような絵が書かれた家。
他にもパン屋や肉屋の壁画もあったのでここは
時計屋なのか?あるいは、画家の家なのか?

市庁舎前には大きな杯。毎年9月第2週、第3週に開催される
ワインマーケットのシンボルです。
オーバーヴェーゼルのワイン生産者たちが
一斉に集い品評会が行われます。

 

 

ワインマーケット中は人口1000人ほどの古い小さな町に
2万人もの人が押し寄せるそうです。

 

目抜き通りに各醸造所自慢の
ワイン屋台がずらっと並びます。
片手でベビーカーを揺らしながら乾杯。
子供たちもこの日を楽しんでいます。
さすがにぶどうジュースですが。
小さな頃からワインに慣れ親しんでいる彼らには
ワインのない人生はありえないのです。
人生はワインとともに!

 

伝統的なお祭りとあって
民族衣装をまとった子供や大人の姿もちらほら。
木組みの家並みが集まる町並みにとても似合っています。
会場に流れる民族音楽にあわせて踊っていた元気な女の子。
楽しそうな笑顔にこちらまでつられて笑ってしまいます。

 

 

今年のワイン魔女「ティナ」ちゃん。
秘密会議で若い女性の中から毎年選ばれるそうです。
魔女ですがオーバーヴェーゼルのワイン嬢です。

夕方近くになると人がどんどん押し寄せ
小さな町は歩くのもやっと。
みんなグラスを片手におしゃべりに花をさかせ
笑顔が町に溢れています。

夜10時。宴もたけなわ。広場は、もはやすし詰め状態。

 

広場のステージではバンドの生演奏とともに
老若男女が躍っています。みんなの表情から
心から楽しんでいるのが伝わってきます。
こうして夜はふけ、お祭り騒ぎは明け方まで続くのでした。


 

 

 

 

 

 

 

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